2025年度通期業績発表

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* 本記事は Fonterra Co-operative Group Limitedが 2025年9月25日(現地時間)に発表したアナウンスの日本語訳です。
 

Fonterra Co-operative Group Limited(以下、フォンテラ)は、2025年度の年次決算を発表しました。
今年度の総売上高は260億NZD、株主へのキャッシュリターンは162億NZDでした。
2025年度は株主還元の面で、これまでで最も好調な年の一つとなり、2024年度に続き、堅調な業績を維持しました。

主要な業績は下記の通りです。

  • グループ連結総売上高: 260億NZD、前年比15%増

  • 株主へのキャッシュリターン総額: 160億NZD、前年比30.6%増

  • 営業利益: 17億3200万NZD、前年比13%増

  • 税引後利益:10億7900万NZD、前年比4%減、税額調整後 前年比13%増

  • 調整後1株当たり利益:71セント、税額調整後 前年比 13セント増

  • 2025年度年間配当:1株当たり57セント(税控除付き)、55セント(税控除なし)から増加

  • 資本利益率:10.9%、前年11.3%より減少、前年度の税額調整後10.0%から増加

  • 2024/25年度生乳買い取り価格: 10.16 NZD /kgMS 

  • 2024/25年度 生乳収集量:15億900万kgMS、前年比2.6%増

  • 2025/26年度生乳買い取り価格範囲(予測):9.00 NZD ~ 11.00 NZD /kgMS

  • 2026年度利益範囲(予測):1株当たり45~65セント

  • 2026年度利益範囲(予測):1株当たり45~65セント

2024/25年度の最終的な酪農家への生乳買い取り価格(Farmgate Milk Price)は、乳固形分1キログラム当たり10.16ドルで、ニュージーランドの酪農家への支払い総額は153億NZD(前年比38億NZD増)に達しました。
2025年度の通年の配当金は1株あたり57セント(税控除付き)です。この配当金は配当方針の上限に近い水準であり、株主およびユニットホルダーに対して合計9億1600万NZDのキャッシュリターンを行いました。通年の配当金の内、22セントが中間配当金、35セントが最終配当金でした。
この結果を受け、CEOのマイルズ・ハレル(Miles Hurrell)は以下の通り述べています。
「株主への配当という面で、2025年度は特に好調な一年でした。ニュージーランドのミルクで作られる高品質な製品に対する世界的な需要は依然として高いままです。この需要が今年度の収益につながり、生乳買い取り価格(Farmgate Milk Price)や配当金にも反映されています。
私たちのビジョンは、世界で最も価値ある乳製品のサプライヤーになることです。B2Bに特化した乳製品サプライヤーとなること、また、高い実績を持つ乳原料とフードサービスチャネルを通じて顧客と密に連携をとることで、酪農家にとってバリューチェーン全体の価値を向上させることを目指しています。
今年度、このゴールに向かう重要なステップとして、コンシューマー事業および関連事業の売却を行い、ラクタリス社への42億2000万ドルでの売却契約を締結しました。(この売却はフォンテラ酪農家株主や規制当局などの承認が条件となります。)
さらに、私たちはフードサービス事業および原料事業を通じて、さらなる価値を提供することを目指しています。高付加価値製品への需要に対応するため、新しい製造設備への投資を継続し、今後3~4年間で最大10億NZDの投資を行う計画を立てています。さらなる付加価値を創出し、オペレーションコストの効率化を図るため、複数の投資プロジェクトの検討を進めています。」

投資プロジェクトの具体例:
―原料事業関連:先般発表したスタッドホルム(Studholme)工場への開発投資、および既存のプロテインポートフォリオの価値向上を目的とした投資
―フードサービス事業および原料事業関連:乳脂肪の価値向上を目的とした、バターおよびクリームチーズに対する新規投資
―工場運営への投資:企業資源計画(ERPシステム)の更新、データ、AI、オートメーション

マイルズ・ハレルは、以下のように述べています。
「戦略の集中実行により、消費者部門および関連事業の売却による収益への影響を相殺し、今後3年以内に現在の収益水準へ回復することを目指しています。また、フォンテラの堅実なバランスシートは、資本の還元、事業の未来への投資、そして配当方針の堅持を可能にする基盤となっています。」

業績

2025年度、フォンテラは堅調な業績を達成しました。グループ全体の営業利益は前年の15億NZDから増加し、17億NZDとなりました。
税引後当期純利益は11億NZDで、EPS(1株当たり純利益)は65セントです。EPSは前年よりやや減少していますが、これはフォンテラがインピュテーション・クレジット(酪農家株主への配当を課税所得から控除せず、代わりに配当金に税控除を付与すること)を実施した結果、2025年度における税負担が増加したためです。
消費者事業の売却に関連する費用を除くと、一株当たりの正常収益は71セントとなり、前年と同水準でした。資本利益率は10.9%で、10-12%の目標範囲内に収まりました。
マイルズ・ハレルは以下のように述べています。
「この業績は、主に原料事業の営業利益増によってもたらされました。これは、当社のプロテインポートフォリオに対する需要や、利益率を安定させるためのヘッジ手法の活用や市場指標に基づいた価格設定に起因するものです。
また、中国市場でのUHTクリーム(常温保存が可能なクリーム)、バター、モッツァレラなどの高付加価値製品に対する需要の増加が継続しており、フードサービス事業における販売量は増加傾向にあります。
売却予定であるメインランドグループ(Mainland Group)に関しては、コンシューマー事業での販売量が増加しました。また、世界的な日用品の価格高騰の中でも乳価が安定しているオーストラリアでも販売が好調でした。
営業費用の増加は主に、次世代のERP(企業資源計画)ソフトウェアのアップデートへの投資および消費者事業売却プロセスの関連費用によるものです。
バランスシートとレバレッジ指標は前年と同水準であり、フォンテラの強固なポジションを維持しながら、将来に向けた選択肢を広げています。」

戦略

2025年度、フォンテラは、原料事業とフードサービス事業を通じて更なる価値向上を図るための更なる一歩を踏み出しました。その一環として、リチャード・アレン(Richard Allen)をグローバル原料事業のプレジデントに、またテハン・チョウ(Teh-han Chow)をグローバルフードサービス事業のプレジデントに任命しています。
マイルズ・ハレルは、戦略的な設備投資について、以下のように述べています。
「フォンテラは、StudholmeおよびEdendale工場の新しい製造設備の建設を開始しました。2026年初頭にStudholmeでプロテイン製品の製造が、2026年後半からEdendale でUHTクリームの製造が始まる予定です。
また、フォンテラは基礎設備への投資を進めており、Whareroa工場では新しい冷蔵倉庫の導入が進んでいます。また、ClandeboyeおよびEdendale工場では、より安全性の高いエネルギー供給のため、石炭不使用のボイラーが新しく設置される予定です。
StudholmeおよびEdendale工場への投資に加え、高付加価値たんぱく質製品(スペシャルティプロテイン)やバターへの新たな設備投資も計画しています。これらの投資により、当社の製品構成がさらに改善され、より多くの生乳をフードサービスや汎用品以外の高付加価値製品に割り当てることができようになると考えています。」

事業売却

原料事業とフードサービス事業への集中戦略に伴い、2025年度にコンシューマー事業および関連事業の売却を実施しました。2025年8月、これらの事業をラクタリス社に42.2億NZDで売却することに合意したことを発表しました。(ただし、この売却にはフォンテラ酪農家株主や規制当局などの承認が条件となります。)
発表の通り、売却完了後には、売却収益から1株あたり2.00NZD(総額32億NZD)の資本還元を目標としています。
フォンテラ取締役会は、売却契約が確定し、ニュージーランドで現金収益を受け取った後に、その他の関連要因(債務や収益見通しなど)を考慮した上で、還元金額とその時期を最終的に決定する予定です。
この売却は、フォンテラ酪農家株主と規制当局の承認、および売却対象事業のフォンテラからの分離が条件となります。酪農家株主による株主投票は、2025年10月30日の特別総会で実施される予定です。

今後の見通し

フォンテラは、2025/26シーズンの生乳収集量の予測を1,490百万kgMSから1,525百万kgMSに修正しました。
マイルズ・ハレルは以下のように述べています。
「前年度に続き、今年度も春にかけて好天が継続し、牧草が順調に成長することが予想されます。」2025/26の酪農家からの生乳買い取り価格(Farmgate Milk Price)は、乳固形分1kgあたり10.00ドル、変動幅は9.00ドルから11.00ドルと予測しています。
「Global Dairy Trade(GDT)の価格は依然として堅調であり、GDTを通じて販売される当社製品に対する需要も引き続き安定しています。しかしながら、地政学的要因に伴う商品価格や為替レートの変動リスクは依然として存在しています。」
2026年度は、事業からの収益(売却予定の事業は除く)は1株あたり45~65セントを見込んでいます。
「今年度の収益予測は、2025年度に達成した堅調な業績に基づくもので、売却予定の事業からの収益は含まれていません。」
将来的には、3年以内に収益を現在の水準に戻すことを目標としています。Mainland Groupが売却された場合においても、2024年9月に発表した戦略目標と方針に変更はなく、2026年度以降の資本利益率の平均値を、過去5年間の平均を上回る10~12%とすることを目標にしています。
また、財務の安定性を維持するため、負債と利益のバランスを示す指標(Debt to EBITDA)の目標を3倍未満に変更し、自己資本に対する負債の割合(ギアリング比率)については、引き続き30〜40%の範囲を目標としています。これらの方針は、健全で保守的な財務体制を維持するという当社の姿勢を反映しています。
将来的に業績に影響を及ぼしうるリスクは常に存在しますが、フォンテラは中期的に収益の60~80%の範囲で配当を支払うことを目標とし続けています。
「フォンテラの継続的なバランスシートの強さと集中戦略により、今後も株主の皆さまに対して良好なリターンを還元するための十分な準備が整っています」とマイルズ・ハレルは述べています。