Nestlé社との「ネットゼロ酪農場」実証プロジェクトに関して

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※本記事は Fonterra Co-operative Group Limitedが 2025年11月27日(現地時間)に発表したアナウンスの日本語訳です。

ニュージーランドのTaranaki地方にある「ネットゼロ酪農場」の試験運用は第三期を終え、ニュージーランド初となる商業的化に向けて進行しています。2025年度の実績については、こちら(グローバルサイト)をご覧ください。

本プロジェクトは、Nestlé社との共同戦略パートナーシップにより実施されています。本年度より、酪農家による温室効果ガス排出削減を支援するため、Nestlé社とフォンテラは新たなインセンティブプランも共同で展開しています。インセンティブプランの詳細はこちら(グローバルサイト)をご覧ください。

本プロジェクトでは、現地研究機関であるDairy Trust Taranakiと共に、250ヘクタール規模の試験酪農場を運営しています。本酪農場では、収益性を確保しながら、今後10年以内のネットゼロ達成を目指し、さまざまな実証実験を重ねています。

2022年度のプロジェクト開始以来、本酪農場では、排出原単位(生産量あたりの排出量)を9.5%、絶対排出量(酪農場全体の排出量)を23.5%削減することに成功しました。2025年度には一日の搾乳回数を2回に増やし、排出量の多い輸入飼料を削減したことで、排出原単位が前年度に比べ4.5%減少しています。一方で、搾乳回数の増加により、1ヘクタールあたりの生産量は9.5%増加しましたが、絶対排出量は前年度比4%増となりました。引き続き、乳牛の繁殖プログラムの研究を進め、より少ない乳牛で同等の生産量を確保することで、排出原単位・絶対排出量の両指標を削減することが期待されています。

フォンテラのサステナビリティディレクターであるシャーロット・ラザフォード(Charlotte Rutherford)は、以下の通り述べています。

「排出量削減は重要な課題である一方、収益性の確保も非常に重要です。現実的で、将来的により多くの酪農家に採用される方法を探すため、排出削減と収益性の両方を重視しながら、ネットゼロに向けた効果的なアプローチを研究しています。これまで得た知見は、酪農家が自らの酪農場にとって最適な対策を選択する際の一助となり、フォンテラの削減目標達成にも寄与すると考えています。」

Nestlé New Zealand CEOのスーザン・カタニア(Susan Catania)氏は、以下の通り述べています。

「ネットゼロ酪農場の実証実験における進展は、フォンテラとNestléが目指す温室効果ガスネットゼロ達成への強い思いを示すものです。革新的なツールやアプローチを活用することで、継続的な成果が得られていることを大変嬉しく思っています。このプロジェクトを通じて得られる知見は、今後の排出削減活動の広がりや、持続可能な未来に向けて取り組む酪農家の皆さまの支援につながると考えています。」

今年度、試験酪農場では排水処理技術であるエコポンド(EcoPond)の使用が拡大されます。これまでの試験運用では、エコポンドは処理排水サンプルに含まれるメタンの排出量を約97%削減しており、全排水池への導入により、酪農場全体の排出量を最大5%削減できる見込みです。尚、フォンテラはWaikato地方とSouthland地方の約200の酪農場と連携し、車両を活用したエコポンドの投与実験を始めています。詳細はこちら(グローバルサイト)をご覧ください。

昨年度、試験酪農場には、Carbon sequestration(炭素隔離)と水質改善のため、およそ4,500本の樹木が植えられました。また、今年度はBiochar(炭素を豊富に含むバイオマス)を用いた、土壌中の炭素量増加や炭素隔離について実証試験を実施予定です。子牛の飼育方法についても研究を進めており、異なる給餌方法が、子牛の成長や長期的な生産性、酪農家の仕事にどのような影響をもたらすかを検証しています。