ニュージーランドの放牧方法を 北海道の農場で実施・調査 「ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクト  調査結果報告会」開催報告

~放牧による牧草の有効活用の効率向上と、放牧酪農家の採算性の向上へ~

フォンテラ(Fonterra)社が参画している「ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクト」は6月3日(金)、北農ビル(北海道札幌市)にて、調査対象の放牧酪農家5戸の調査結果と次のステップとして、推奨される農場運営の改善案の実施について説明する「ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクト 調査結果報告会」を開催いたしました。 

本報告会では、調査結果の考察と今後の活動の他、ニュージーランドと日本の協力関係や北海道における放牧の可能性、北海道の酪農家支援の背景などの説明も行いました。

■本プロジェクトの概要
日本の酪農の生産性・収益性を向上させる方法を特定することを目的に、北海道から選出された5戸の放牧酪農家の農場でニュージーランド式放牧酪農を実施・調査。ニュージーランド政府、フォンテラ社、ファームエイジ株式会社からの資金提供、北海道庁、ホクレン農業協同組合連合会の協力の下、ニュージーランドの農業科学研究者が主任コンサルタントとなり、2年間かけて行われたプロジェクト。


■調査から得られた、日本とニュージーランドの酪農経営における違い
・日本は1頭あたりの乳量を追求し、ニュージーランドは草地面積1ヘクタールあたりの利益を追求している。
・ニュージーランドの農場ではすべての草地を使用して放牧し、放牧地の余剰部分はサイレージとして利用する。


■牧草とサイレージの品質向上に向けた改善策
【牧草】
・ME(代謝エネルギー量)を上げる。
・牛による牧草の摂取量を最大化させる。
・余った牧草はサイレージ生産、または乾乳牛・育成牛を放牧する。

【サイレージ】
・採草地を年に3~4回カットする。(草種によって)
・肥沃な土壌をつくる。
・ME(代謝エネルギー量)・粗蛋白質率・繊維・乾物量の割合を高品質水準にする。


■2016年~2018年に実施する調査内容
・乳量と乳質
・飼料
・牛群の体重とBCS(皮下脂肪蓄積の程度を数値化した指標)
・放牧時間(時間/日)
・放牧方法
・牧草の成長率
・草量
・牧草とサイレージの品質
・肥料と堆肥


■ニュージーランド大使館 公使 ピーター ケル氏のコメント
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調査の結果、北海道でニュージーランドの放牧技術が利用されることにより、酪農家の皆様の収益とライフスタイルの向上に貢献できる可能性が明確になりましたので、プロジェクトを継続することになりました。今後も引き続き、開拓精神を持って、新しいことにチャレンジしていけるようお互いに協力し合っていきたいと思います。それこそが、2014年にニュージーランドと日本の両首相が宣言した、「食と農業の分野におけるパートナーシップ強化」に必要なのだと思います。


■ファームエイジ株式会社 代表取締役社長 小谷 栄二氏のコメント
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私たちの使命は美味しくて身体に良く、家畜と環境に優しい放牧製品を経営として成り立つ生産技術として北海道に広めることです。
日本とニュージーランドでは、酪農に対する考え方が異なります。日本は1頭あたりの乳量を追求し、ニュージーランドは1ヘクタールあたりの利益を追求しており、良い草・良い土づくりを重要視しています。
ニュージーランドは乳量が少なく、国の技術が高くないのではないかと思われがちですが、1ヘクタールあたりの牛乳の生産量は非常に高いです。酪農経営をする上でのポイントは、「放牧」を取り入れることです。北海道の酪農家で成功している人の多くは、乳飼比20%前後が多いです。私たちは北海道の放牧酪農家の成功事例をデータとして紹介し、誰もができる放牧のシステム(技術)を北海道に届けていきたいと思います。


■フォンテラ ジャパン株式会社 代表取締役社長 斎藤 康博のコメント
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フォンテラは、世界各地で現地の酪農・乳業の健全な発展をサポートする社会的協力事業を行ってきました。本プロジェクトも社会的協力を目的としており、ニュージーランドの放牧酪農方式が、関係酪農家の実質収入を向上させること、また多額の借入金や、設備投資に伴う負債を将来的に回避し、持続的に酪農を継承してゆける、との信念から本プロジェクトを推進しています。今回の調査からも、ニュージーランド方式の放牧が、日本でも地域によって一定レベル通用することを確信しており、今後も継続してサポートを行っていきます。


■主任コンサルタント(ニュージーランド農業科学研究者)キース ベタリッジ氏のコメント
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酪農家の収益拡大は可能性大です。夏に与えている補助飼料は、ほとんど牧草に置き換えられ、放牧酪農家も舎飼い酪農家も高品質のサイレージを生産できます。放牧酪農は酪農家のライフスタイルを改善すると共に、若い人たちを酪農産業に引き付けるでしょう。
私たちはこれからの2年間で、5戸の協力酪農家と共に仮説が正しいことを実証していきます。今後はこれまでの調査の継続に加え、年2回のディスカッショングループ(放牧勉強会)を開催する予定で、5戸の協力酪農家のみならず、近隣の酪農家及び酪農関係者も対象に協力を行っていきます。


■浜中町農業協同組合 代表理事専務 高岡 透氏のコメント
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JA浜中町の取り組みとして、ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクトに付随して、一般農家に対しても放牧の勉強会等を行っております。
ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクトの参加に関しましては、「栄養価の高い自給飼料の獲得」や「労働力対生産性の向上」、「大規模放牧技術の確立」を踏まえて、今年から昼夜放牧を取り入れ、放牧に対してより力を入れていきたいと思います。


■ホクレン農業協同組合連合会 自給飼料課長 清澤 博明氏のコメント
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ホクレンは北海道自給飼料改善協議会に参画しております。牛が多く食い込める自給飼料生産を後押しして、その結果、購入飼料を減らすことができ、最終的に生産者の所得向上につなげるべく、講習会や優良事例の発表会を開催しております。
その中でも報告されておりますが、自給飼料率向上の手段の一つとして「放牧」が位置づけられております。キース ベタリッジ氏にご訪問いただいた際に、エアレーションの必要性や有機物の還元についてアドバイスをいただきました。半年は雪で覆われてしまう北海道ですので、ニュージーランドの放牧技術をそのまま真似することはできませんが、アドバイスを取り入れ飼料自給率向上技術の普及拡大に努めてまいります。


■調査結果報告会の概要
名称   :「ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクト 調査結果報告会(公開発表会)」
会場   :北農ビル(北海道札幌市)
開催日  :6月3日(金)
主催   :ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクト
      (ニュージーランド大使館・ファームエイジ株式会社・フォンテラ社)
協力   :北海道庁
      ホクレン農業協同組合連合会
後援   :農林水産省
登壇者一覧:
ピーター ケル氏/ニュージーランド大使館 公使
小谷 栄二氏/ファームエイジ株式会社 代表取締役社長
斎藤 康博/フォンテラ ジャパン株式会社 代表取締役社長
キース ベタリッジ氏/主任コンサルタント(ニュージーランド農業科学研究者)
高岡 透氏/浜中町農業協同組合 代表理事専務
清澤 博明氏/ホクレン農業協同組合連合会 自給飼料課長


■キース ベタリッジ氏の紹介
ニュージーランドの国立研究機関AgResearch Grasslandsの国土環境管理部門で上級研究員を務めたベタリッジ氏は、牧草地の再生、品質、管理、環境被害の軽減、農場・動物の管理に関して広範囲に及ぶ農業科学の研究に42年間取り組んできました。
同氏は日本滞在経験があり、草地試験場(NGRI)と共同で放牧草地に関する研究を行ってきました。また、日本学術振興会特別研究員、科学技術関係基金(IRF)および日本・ニュージーランド科学協力基金が支援する牧草研究プロジェクトにも携わっています。ニュージーランド・マッセー大学で農業科学の修士号を取得しています。